戦略的人材開発についてトータルかつ一気通貫で議論するために、まずは経営診断の実施を通じてクライアントが置かれている現状とあるべき姿を多角的に調査・分析する必要がある。診断の手法は主に①経営・人事資料の分析、②アンケート調査の実施・分析、そして経営層や現場のキーマンに対する③ヒアリング調査の実施・分析である。アンケート調査はギャップ分析※という手法を用いる。
そして、診断結果から導き出された人材開発課題を解決すべく、組織のハード面(制度や運用上のルール、マニュアルなど)とソフト面(組織の不文律や暗黙のルール、社員の能力や心理など)の両方にアプローチしていく。
※ギャップ分析とは、各質問項目について“現状”はどの程度実現さているか/当てはまっているか、また同じ質問項目について“今後”(あるべき状態)はどの程度実現されるべきか/必要性が高いかを回答していただくものである。こうして、“現状”と“今後”のギャップの大きさを明らかにすることにより、当該分析を通じて明らかになった問題のうち、優先的に解決すべき課題を数値で把握する。
コンサルタントによる「戦略的人材開発・教育体系再構築支援」の全体的な流れは以下のとおりである。
コンサルタントを活用するメリット・デメリットを踏まえ、どのように支援を受けたいか、受けるべきかについて事前に社内で議論しておく必要があります。
経験豊富なコンサルタントを活用するメリットとして、こんなことが挙げられます。
コンサルタントの専門性については、例えば大手のコンサルティングファームから送り込まれたコンサルタントといえども、きちんとした見極めが必要です。依頼したい案件とコンサルタントのプロフィールを見比べてその専門性を判断しましょう。またコンサルタントに支払う報酬が高い、社内にノウハウが残らない等のデメリットについては、コンサルタントを自社の課題解決にどう関与させるか、自社のプロジェクトチームの体制をどう組むかである程度は解消することができるのです。
コンサルタントが関与するスタイルは大きく2つの方向性があり、どちらの方向性を選択するかで、支払う報酬の額もノウハウが蓄積する度合いもまったく変わってきます。 1つめの方向性は、コンサルタントが個別のミーティングから報告会までプロジェクト全体の進捗を管理し、人事制度や教育体系の設計仕様書や運用手順書等の成果物もすべて作成してクライアントに報告、提出するスタイルです。そしてもう一方の方向性は、基本的にクライアント自身がすべての成果物を作成するのですが、コンサルタントはそのためのミーティングや報告会において、専門的な見地から意見を述べたり、成果物のレビューをしたりするスタイルです。
コンサルタントを活用する際には、自社の課題を解決するために投入する予算やマンパワーを勘案した上で、コンサルタントの関与度合いや役割分担を決めるのがよいでしょう。
★現状やあるべき姿を多面的に調査・分析することで、解決すべき“真の”課題を明らかにする。
★役員や現場のキーマンと認識をすり合わせ、プロジェクトに対するコミットメントを引き出す。
★プロジェクトを複数のフェーズに分けることで、各成果を確認しながら着実に進捗を管理する。
★新制度の導入にともなう社員の心理的抵抗やその変遷を十分に理解し、適時適切な対策を打つ。